代表取締役 柴田 和明 氏

京都府相楽郡精華町光台1丁目7 けいはんなプラザラボ棟6F

「こんなものがほしい」「これは面白い」との自らの経験から、生体電極を違和感なく体に装着するパッドの商品開発をされた株式会社プロキダイの柴田代表取締役のお話。

けいはんなで起業したきっかけ

けいはんなプラザの前を通るたびに、こんなところに事務所を構えられたら、お客さんの印象も違うだろうとずっと憧れていました。ベンチャー企業向けのインキュベーター施設や起業支援のしくみがあるのを知らなかったのですが、たまたま、取引先の研究所が近くにあってそちらの社長から話を聞き、(株)けいはんなさんに連絡しました。最初は僕らから見るとちょっと高嶺の花というか、申し込んでもダメかなと二の足を踏んでしまうという印象でした。でも事業内容を説明したら担当の方から熱心に勧誘していただき、やらずにあきらめるのはダメだと言われ、申込書の書き方から教えていただき、それで今回、入居に至りました。

元々は鈴鹿市でレーシングカーを製作していた

もともとはメーカーの企画車両といった、レーシングカー自体を製作したり、エンジンのマッピングを作ったり、ドライバーのサポートをしていました。たとえばSuper GT(Super GTレース)って、レース距離が半端じゃないんです。お尻が痛くならないようなシートや、ドライバーの膝や肘の保護材に医療用の床ずれ防止用のゲルを利用した商品など、レーシングカーのドライバーの環境改善をはかる現場で、医療用素材のメーカーさんと共同で異業種の素材を活用するという形の商品開発をするようになりました。

ほしいものがない、それなら自分で納得いくものを作ってみよう

僕自身、マラソンや自転車競技を長年やってまして、ベルトタイプのものを利用していたんですが、実際大会のときにつけて42.195km走るかって言ったら、走らないんですよ。途中で落ちてしまったり、こすれて痛くなったり。それを、動かないようにしようと思うと、ものすごくタイトに縛らないといけないんですが、そうするとやっぱり苦しくなってしまって、こっちが気になって走ることに集中できない。それで最初はいろいろ代替品を探したけれど見つからない。それなら自分で納得いくものを作ってみようと思いました。

これまでもいろんな規制がある中でものづくりをやってきて、車のレギュレーションと同じように対策、対策、対策とやってるうちにこの商品に行き着きました。知り合いのプロの競技者に「試しに使ってみてよ」と頼んだら、すごく感触が良かった。誰しも実際のレースの時の心拍データを取りたいのですが、ベルトのものだと集中できないからはずす。練習の時はつけるのに。でもこれにした場合は、途中からつけていることを忘れるので、違和感なくログが取れる。スポーツウォッチやサイクルコンピュータにはGPS機能が付いた商品もあるので自分が走った軌跡が全部見れますし、PCに取り込んだデータを見ながら日々楽しくてたまりませんでした。それでこれまでと全然業種は違うんですが、こういったヘルスケアの分野でチャレンジしたいと思いました。

商品の魅力で人のつながりが広がった

当初はうちのような会社が行っても医療用素材のサンプル自体をもらえなかったのですが、飛び込みで企画を説明し、手に取って見てもらいました。すると商品の魅力を感じてもらえたのか「おもしろいから協力させてもらいます」と、人づてに取引関係が広がっていきました。

ハートレートセンサーパッド・AIRの商品構成は、センサーパッド(生体用電極)本体と導電ゲルそれぞれ1対、体とセンサーパッドを固定する専用テープ5枚で1セットです。国内シェア上位2社のハートレートセンサーに対応できるようサイズを設計しています。固定テープは3Mジャパン(株)メディカル部門と、またパッドに使用した導電ゲルはタキロン(株)と共同で、素材選定を行い技術協力もして頂いています。昨年12月には、激しい運動による動きと大量の汗に耐えて、体に常に密着して安定的に心拍を測定できる生体電極を独自の技術で開発し、特許を申請しました。

災害現場などの後方支援ツールとして

最近はやりの腕時計型のウェアラブル機器はL E Dの光で静脈を照らして画像認識して脈のデータをとるしくみですが、それだとせいぜい1時間ほどしかバッテリーが持たないのです。心電型の心拍センサーは、消費電力も少なく長時間使用が可能なため、ロギング自体も長時間行えます。センサーからの情報はBluetoothか、NT規格の通信網を使ってレシーバーで受信します。Wi-Fiを使って他のデバイスでペアリングもできるので、第三者がモニタリングすることも可能です。

将来的には災害現場で使いたいと思っています。消防士や現場で活動する隊員の方に装着してもらって、安全確保や状況確認に役立てたい。呼吸のデータも取れるようにセンサーを改良すれば、現場でどのような状況におかれているのかを確認し、応援を出すかどうかを後方で判断できます。あと、モータースポーツの様なアクシデントを伴うイベントのときにも、クラッシュしたドライバーの状態を確認して、ドクターヘリを呼ぶべきかどうかを瞬時に救護スタッフが判断できます。

センサー装着のストレスがないので、トレッキングや登山、高齢者の運動などのスポーツや、また胎児心拍の測定などの医療現場で、可能性はまだまだ広がると思っています。